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三重県の南部、尾鷲市にあるカフェ、scale-158での日常をお伝えします
by scale-158
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PROFILE
cafe Scale

開業:2002年2月
形態:カフェ

営業時間 8:00〜19:00
定休日 水・木曜日
住所 三重県尾鷲市宮の上5-11
電話  0597−22−5258

掲載写真の無断使用はお断りします。
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「d」を読んで考えたこと
[ナガオカケンメイ]が主催する[D & DEPARTMENT]から発行されている[d long life design]というリトルプレスのvol.5に面白い内容が書かれています。

まず、[藤崎圭一郎]さんの「デザインの売り場を考える」というコラムから。

そこでは毎年ビッグサイトでおこなわれる[グッドデザイン・プレゼンテーション]について書かれています。

グッドデザイン賞を得たものには「Gマーク」なるものが付けられる。
これは、もともと通信産業省が主催していたもので、メイドインジャパン製品の質向上を図る輸出振興政策のひとつであった。

筆者はグッドデザイン賞のホームページにある「グッドデザイン賞の目的はデザインを通じて生活の質的向上と産業の高度化を図ることと要約できる」の「生活の質的向上」に疑問を呈しています。

「他人の生活やライフスタイルの質など誰が評価できのだろうか。ガタガタのテーブルや使いづらいパソコンやパクリぎりぎりのデザインに囲まれていても、自分で好きで選んだものならば、その人にとっての良い生活は充分送れる。お仕着せのグッドデザインに囲まれた生活のほうがずっと息苦しい」と述べており、最終的には、そのもののデザインがグッドとかバッドではなく、Gマークのついた商品をデザイナーだけでなく、ビジネスマンや売り場の人間も含めて、その売り方まで考慮すべきである、と締めています。

確かにそうだと思います。

「センスが良い/悪い」と言いますが、要は好きか嫌いかの判断であって、「かくあるべし」という基準が設けられ、それに従わなければならないとしたら、、皆同じ服を着て、同じような家に住み、同じような家具や家電に囲まれ、どこの街も似た寄った風景になってしまいます。


「グッドデザイン・プレゼンテーション」の壇上にて[ナガオカケンメイ]が「中古市場ではGマークはなんの機能も果たしていません」と言い放った通り、Gマークはデザインの保証であって、ヒット賞の保証ではない、ということも語られています。

日本のある時代において、一定のデザインのクオリティを保持するために、Gマークはある程度機能していたとは思うのですが、今はもはやその意味は薄れつつあります。

Gマークは消費者に届くものであったはずのものが、デザイナー、という範囲で止まっているとさえ感じる時があります。

デザインは一つの選択肢でしかなく、もっと、提示する「あるもの」があるのがあると、主張しています。(それが「なんなのか」は後述します)



さらに同じ号の[柴田文江]というデザイナーのインタビューの中で、デザインされたものはあっても、「売り場」や「売り方」が無い、ということを指摘しています。

デザイナーは、「デザインのわかる消費者」を勝手に設定し、放っておいてもその消費者に届くと過信しているようです。

思っているほど、消費者の商品に対する「デザインの優先順位」はそれほど高くは無い。
だから売り場、売り手、売り方が重要なのだ、と[柴田文江]は主張しています。

これは先に書いた[藤崎圭一郎]の「Gマークは良いデザインの保証マークであっても、売れる商品の保証マークではない。もう少し、提示していく他のものがある」という主張に通じます。


[柴田文江]さんの言葉に、これらのことを簡潔に示した言葉があります。

『デザインに関心のある人のためにデザインするだけがデザインではない』

そして

『デザインなんてわからない人間が間違って買っていくようなものをつくりたい』

という言葉。


これはかなりエッヂの効いた、良い思想です。

そしさらにそれを受けて[ナガオカケンメイ]が以下のように書いています。

デザイン先進国の家電は、間違っても「デザイン家電」とは言わない。
デザインは当然、高い水準でされている。
そんな国と同じデザインをしている日本の家電は、
まさに「デザイン家電」としてよく目立つ。

と。


このナガオカと柴田文江の思想をさらに簡潔に言い表すなら、「デザインとはデザインそのものの押しつけであってはならない」という事です。


「これが正しいデザインです」という押しつけよりも、もっと人間のラディカルな部分、無意識の部分に呼びかける「優しい提案」のほうが優先されるべきであると、[D &〜]のスタッフは理解しているようです。

デザインとは「よりよくするもの」であって「唯一無二の答え」ではありません。

さらに「よりよくするもの」という部分だけを抽出するならば、デザインとは商品というオブジェクトのみが対象ではなくなります。

いうなれば、生活の中にある、、、ある種、ルーティン化してもはや気付いていない領域の中にも、、、、デザインが入り込む余地はあり、これからの時代はそこにスポットが当てられていくことでしょう。

[D &〜]の最も新しいプロジェクトの一つに[D & DESIGN TRAVEL]というプロジェクトがあります。

これは観光をテーマに掲げた[D &〜]のプロジェクトですが、まさに、これは「一定の基準によってデザインを精査する」「唯一無二の答えで観光プロジェクトを進めて行く」のではなく、「もともとそこの土地性が持つ魅力あるものをデザインを使って上手にプレゼンする」ことにあると思います。


[d long life design]の5号に書かれていることと、これからの「観光」の新しい関係性について考えていくと、個人的にはとてもワクワクしてきます。

この5号に書かれていること(この号自体は5年前に出されたものです)と、今まさに動き出している、[D &〜]のプロジェクトから導きだされる方法論は、(従来の観光のスタイルを否定しているのではなく)今まさに襲いかかってこようとしている時代の大きな波に対して、新しい分野を開拓していく場合において、基本的に押さえておきたい方法論となることと、個人的には思います。

これが名のあるデザイナーの、かなり影響力のあるリトルプレスで語られているのですから、もっとメジャーな動きになっていくとは思うのですが、残念ながら「届かない人のもとには絶対に届かない」仕組みになっているのが、世の中の不思議、というか、そういう人がなぜか中心になっている不思議さがあります。

これは辛口になりますが、「観光」という仕事に携わりながらも、明らかに「勉強不足な人」が私の目に付く範囲にもいます。

それは「観光」をうたっている組織の旧来のHPやブログを見ても、勉強不足なのは明らかです。
(「観光資源」という素晴らしい素材に対し、「ビュアーへの敬意」と「デザインする能力」が明らかに追いついていません)

しかし、そういう人には何を言っても無駄といえば無駄なのです。

さっきも書きましたが、そういう人のもとには「絶対に届かない」ものなのです。


それを覆す為には、自分が力をつけるか、粛々と、目の前に積まれた「お金にならないチリ」を少しずつ積み上げていく作業を続けるしか無いのです。


今回の日記に登場したリトルプレス[d long life design]。


「d」を読んで考えたこと_c0092610_9411240.jpg


近年、デザイン系の雑誌の休刊・廃刊相次いでいます。
もしかしたら「業界系」の雑誌はリトルプレスの形式で生き残って行くのでしょうか…。

あ、でも広告収入にあまり頼っていなかった[広告批評]も廃刊になったし…。
出版は難しい局面にさしかかっているのでしょう。
by scale-158 | 2010-04-19 01:06 | other works
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