毎週1回、尾鷲高校美術部員による作品展示[いっぴんミュゼ]。
新しい作品の紹介です。
作品名:白猫
作者:藤岡美晴
展示期間:2013年8月16日〜
製作期間:3週間
画材:水彩絵の具
作者コメント:
猫の影とまわりを青くすることによって不思議な雰囲気のある絵になったと思います。
初めてのミュゼで緊張しましたが、少しでも多くの方に見ていただければ嬉しいです。
、ということだそうです。
作者のコメントを見ているとよくあるのが、『不思議な雰囲気』という言葉。
みなさん、けっこうこの『不思議な雰囲気』というのにこだわりをおいているのがわかります。
ファンタジックなものから、淡い輪郭のものまで、色々な場面で『不思議な雰囲気』が出てきますね。
日常の想像と非日常の創造。
その中でも『非日常の創造』を描き出そうとしているのがよくわかります。
コメントにあるように、影とまわりは、青くしているそうです。
確かに青というのは特に日本人にとって、独特の感覚がある色のように思えます。
水墨画がありますが、あの黒色は、黒とはいわず、青と表現します。
夕暮れ時の、太陽が沈んだ後に訪れる、夜の一歩手前の色は、青色です。
日本人は、あの夜が訪れる前のあの青色がとても好みだと、骨董屋さんに聞いたことがあります。
確かに、あの時間帯のあの青色は独特のものがありますよね。
全てが鮮やかな色を失い、青色に吸い込まれていくあのなんとも言えず悲しげな時間帯…。
この猫の絵を見て、その青色に吸い込まれている時間帯を思い出しました。
青色について思い出したことがあるのでもう一つ。
[金沢21世紀美術館]の常設展示で[アニッシュ・カプーア]という人の作品を見ることができます。
斜めの白い壁(?)に黒い穴がぽっかりと空いているような作品なのですが、(あれは実際に空いてるのではなく塗っているだけなのかな?)深い深い闇のような穴で、まるで奥までず〜っとぽっかりと穴が続いているような、そこに宇宙が広がっているような、そんな感覚を覚えさせる作品です。
(手を突っ込むと手が消えてしまいそうな感じ)
そこに空いている穴の色は一見黒色なのですが、純粋な黒色ではなく、実は極めて濃い青色を含んだ黒色なのだそう。
解説には確か、『濃い青色は(黒よりもなお)お互いの光を吸収し合う性質がある』みたいなことを書いてあったように思います。(本当かどうか知りませんけど)
確かに、その『穴』は、周りの光と色、さらには自らの色と光をも吸い込んでしまうな、普通の黒とはちがう深みがあったように思います。
夜の一歩前のあの青色に染まっていく感じは、『色を失っていく感じ』なのでしょうか…
その色を失っていく感じと、この作品の白猫は上手くマッチしているように思います。
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